働き方が多様化する現在、「キャリアブレイク」という言葉を耳にする機会が増えました。これは単なる休暇ではなく、自己成長やキャリアの見直しを図るための積極的な選択です。しかし、「期間が長すぎると転職に不利になるのでは?」「何をすればいいのかわからない」と不安を感じる方も少なくありません。キャリアブレイクの期間は、数週間から数年と幅広く、目的や状況によって最適な長さは異なります。大切なのは、期間の長さにこだわるのではなく、その期間をどのように過ごし、何を得たいのかを明確にすることです。この記事では、短期間、中期間、長期間のキャリアブレイクを最大限に活用し、得られる効果やメリット、デメリットについて説明します。
1、短期間(数週間〜1ヶ月程度):リフレッシュと刺激
短期間のキャリアブレイクは、日々の仕事で蓄積した疲労やストレスを解消し、心身をリフレッシュすることが主な目的です。
また、短期間ながらも目的をきちんと決めることで新しいことに挑戦したり、自己啓発に励んだりすることで、新たな視点や刺激を得ることもできます。
(1)普段なかなかできない旅行や趣味に挑戦
国内旅行で温泉巡りや車中泊などで自然を満喫したり、短期間の海外旅行で異文化に触れ新しい価値観に触れます。また普段は仕事に追われて長年温めていた趣味(写真、絵画、音楽、スポーツなど)やキャンプ、登山、釣りなどに集中して挑戦してみます。
【期待できる効果】日常とは違うことをすることで心身ともにリフレッシュとストレス解消ができます。更に以前から興味は持っていたけどなかなかできなかった趣味に没頭することで、創造性の刺激や新たな発見があります。
キャリアブレイク中の実際の過ごし方について、引用元:「履歴書の空白」をどう過ごした?◆キャリアブレイク経験者に聞く、無職の効用<時事通信社>を参考にさせて頂きました。
(2)短期集中型のセミナーやワークショップに参加
日常業務の範囲を超えたビジネススキル(プレゼンテーション、コミュニケーション、リーダーシップなど)の向上のためのセミナーに参加します。更に興味のある分野、将来への可能性に向けた(AI、データー分析、Webデザイン、プログラミング、語学など)の短期集中講座を受講し今後の継続的な自己啓発の入り口を見つけます。
【期待できる効果】未経験のビジネスススキルの知識を習得でき、将来を見据えて以降継続して行う自己啓発への意識が高まります。
(3)興味のある分野のボランティア活動に参加
- 地域の清掃活動やイベントボランティアに参加します
- NPOやNGOの短期ボランティアプログラムに参加します
- 動物保護施設や福祉施設などでボランティア活動を行います
【期待できる効果】普段あまり意識していなかった地域コミュニテイへ参加することで社会貢献を実感でき、仕事とは関係のない環境や人々との交流は新しい価値観や視点を広げます。
(4)読書や自己啓発に時間を使う
- 最近滅多に行かなくなった本屋さんに行きましょう
- 自己啓発書やビジネス書などを読み学びを深めます
- オンライン学習プラットフォームで興味のあるコースを受講します
- お寺で座禅、瞑想やヨガなど、心身のリラックスに繋がる活動を行います
【期待できる効果】知識や教養を向上させるためのアクションを起こし、学ぶ環境や姿勢を作ることで、将来へのスキルアップの第一歩を踏むことができます。
(5)短期間キャリアブレイクのメリット
長期休暇を取得する感覚で気軽に始められるため、心理的なハードルが低く、短期間のため会社側と調整でき職場復帰が比較的スムーズに行えます。
長期の旅行や留学などに比べ、生活費や他費用を抑えられるため経済的な負担が少なく、長期キャリアブレイクを検討している方には、短期キャリアブレイクを試してみることで「キャリアブレイク」が自分に合うかどうかを判断できます。
(6)短期キャリアブレイクのデメリット
短期間のため、劇的な変化や大きな成長は期待できませんが、キャリアブレイク後も将来に向けて継続的に取り組みたいことを見つけることができます。むしろ仕事に対する不満やキャリアの悩みなど、根本的な問題解決や深い問題の解決には向かない期間です。
目的意識を持たずに過ごしてしまうと、あっという間に過ぎてしまったり、退屈感からダラダラと過ごしてしまい、ただの休暇と変わらなくなってしまう可能性がありますので要注意です。
(7)短期キャリアブレイクを成功させるためのポイント
短期間であっても何のためにキャリアブレイクを取るのか、何を達成したいのかを具体的に決めます。期間、活動内容、予算などを具体的に計画することで有意義な時間を過ごせます。オンとオフの切り替えを意識し仕事のことは一旦忘れ、心身のリフレッシュに集中します。
キャリアブレイクを通して得た学びや経験は期間に関係なく貴重な体験なので、ブログ記事や日記として記録することで転職時に必要な職務経歴書の作成や面接時に活かせます。
キャリアブレイクの体験を活かす方法はキャリアブレイク、何もしないのは勿体無い!後悔しない過ごし方5選で詳しく説明していますのでご覧ください。
(8)短期間(数週間〜1ヶ月程度)まとめ
短期キャリアブレイクは忙しい日々から一旦離れて心身ともにリフレッシュし、新たな視点を得るための有効な手段です。目的意識を持って計画的に過ごすことで短い期間でも充実した時間を過ごし、その後の仕事や人生にポジティブな影響を与えることができます。
2、中期間(数ヶ月〜半年程度):人生を豊かにする
短期キャリアブレイクは「リフレッシュと刺激」として非常に有効ですが、数ヶ月〜半年間の中期キャリアブレイクは「人生を豊かにする」ことでは大きな違いがあり、より深く自己と向き合い、人生の可能性を広げるための貴重な時間となります。まとまった時間を活用することで、単なるリフレッシュを超えた、自己変革とキャリアの再構築が期待できます。
(1)海外留学・ワーキングホリデー
中期であれば、語学留学だけでなく、専門分野の留学や海外インターンシップ、ワーキングホリデーなど、より多様な選択肢があります。例えば、語学留学+αとして語学学校に通いながら、現地のボランティア活動に参加したり、専門分野の短期コースを受講したりすることで、語学力だけでなく異文化の理解や専門知識も深めることができます。
海外インターンシップ
海外企業で数ヶ月間のインターンシップに参加することで、グローバルなビジネス環境を体験し実践的なスキルを習得できます。
ワーキングホリデー
異文化体験をしながら、現地で働くことで生活費を得ながら実際に現地での生活体験をできます。様々な国で経験を積むことで視野を大きく広げることができます。
(2)資格取得・スキルアップのための学習
【専門資格の取得】
MBA、MOT(技術経営修士)、高度情報処理技術者試験、宅建などキャリアアップに繋がる専門資格の取得を目指すことができます。
【プログラミング・データサイエンスなど集中学習】
オンライや専門スクールに通い、数ヶ月かけて集中的にスキルを習得することで、未経験分野へのキャリアチェンジも視野に入れることができます。オンラインコースで基礎を学び、オフラインのワークショップやカンファレンスにも積極的に参加し実践的なスキルを習得しながら人脈を広げます。
(3)インターンシップ・プロジェクトへの参加
NPO・NGOでの長期ボランティア
地域コミュニティなど社会貢献活動に深く関わることで、社会課題への理解を深め、自身の価値観を見つめ直すきっかけとなります。
企業でのプロジェクト参加
企業と連携したプロジェクトに参加することで、実践的なビジネススキルを習得し就職に繋げるチャンスを得ることもできます。
(4)じっくりと自分と向き合う時間を持つ
長期の海外旅行
世界各地を巡り旅行目的だけでなく、長期滞在型でその地域に長く滞在し時間に拘束されず自分と向き合う時間を持つことができます。様々な文化や価値観に触れることで自己理解を深めます。
【体験談1】下の「体験談2」にあるように、、一旦現実から離れ、これからのためにスキルを身につけようと思い、プログラミングや画像、動画編集をオンラインで3ヶ月間勉強したことがありました。長く中国に在住していたエリアから一番遠くの”海南島”のアパートを安く借り3ヶ月間籠ったことがありました。終日勉強して、気晴らしのため知らない地域を散歩し、たまに海釣りして、今までの生活環境から離れた時、、、「起業してうまくいかず何とか食い繋ぐのが精一杯な状態まで落ち込んでいる私のことなんか、この辺の人は当然知らないし、成功しようが、失敗しようが全く関係のなことだ」と思うと、「たった半年間のことなんか、あー小さい!!」と思え吹っ切れた感じがしました。
コーチング・カウンセリングの継続的な受講
プロのサポートを受けながら自己分析を深め、今後のキャリアプランを具体的に描く最高の機会です。
(5)中期キャリアブレイクの効果
専門知識・スキルの向上
現在の職種に対して、より高度な知識や専門スキルを習得し、キャリアアップやキャリアチェンジに繋げることができます。
キャリアチェンジの準備
今まで従事してきた職種ではなく異分野へのインターンシップやプロジェクト参加を通して、キャリアチェンジに必要な経験とスキルを習得できます。
自己分析の深化、価値観の明確化
長期的に自身の強みや弱み、本当に大切にしたい価値観を深く理解できます。
異文化体験による視野の拡大
長期滞在や異文化交流を通して、多様な価値観を受け入れる柔軟性やグローバルな視点を養うことができます。
(6)中期キャリアブレイクのメリット
自己成長を深く実感できる
長期に渡る取り組みを通して、自己変革を深く実感し自信に繋げることができます。自分は社会に生かされていて、いろんな分野で可能性が待っている期待感を実感できます。
キャリアの方向性を大きく見直し、軌道修正できる
じっくりと時間をかけてキャリアプランを見直すことで、より自分らしいキャリアを築くための方向転換が可能です。
転職市場での価値を飛躍的に高められる可能性
専門性や経験、語学力など、市場価値の高いスキルを身につけることで、転職市場で有利な立場を築けます。
(7)中期キャリアブレイクのデメリット
ある程度の費用と、より長い時間が必要
留学費用、生活費、学習費用など、短期よりも多くの費用がかかります。また、復職までの期間が長くなるため、事前に経済的な計画をしっかりと立てる必要があります。復職に時間がかかったり、または以前の職場への復職が難しい場合があります。同じ職場への復帰を強く希望する場合は職場と相談しておき、叶わない時のことも考え転職を視野に入れておく必要があります。
モチベーション維持のため計画性が大切
目的を明確にし具体的な計画を立てて、一歩一歩クリアしながら達成感、満足感を得ながらモチベーションを維持するための工夫が必要です。
(8)中期間(数ヶ月〜半年程度)まとめ
中期キャリアブレイクは、人生における大きな転機となり得る貴重な機会です。しっかりと準備を行い、目的意識を持って過ごすことで、自己成長を促進し、より充実した人生を送るための基盤を築くことができます。
3、長期(半年以上〜数年):人生の大きな転換点
半年から数年に及ぶ長期キャリアブレイクは、人生における大きな転換点となり得ます。単なる休息やスキルアップを超え、人生観や価値観を大きく変え、新しいキャリアを構築し、自己実現へと大きく踏み出すための貴重な時間となります。長期キャリアブレイクは、明確な目的意識と周到な準備が不可欠です。以下に、具体的な過ごし方の例を挙げます。
(1)長期の海外旅行やボランティア活動
世界各地を巡る旅は、異文化に触れ、多様な価値観に触れることで自身の視野を大きく広げます。ボランティア活動は社会貢献を通じて自己の存在意義を再確認する機会となります。
世界一周旅行 | 数ヶ月から数年かけて世界各地を巡ることで、様々な文化や歴史、自然に触れることで、人生観を大きく変える経験となります。 |
海外での長期ボランティア | 開発途上国でのボランティア活動や、環境保護活動などに長期的に参加することで、社会貢献への意識を高め自己成長を促します。 |
テーマを持った旅 | 特定のテーマ(世界遺産巡り、アート巡り、食文化探訪)を設定して旅をすることで、より深く文化や歴史を学ぶことができます。 |
(2)起業準備
長期キャリアブレイクは、復職ではなく起業という夢を実現するための準備期間として最適です。市場調査、ビジネスプランの作成、資金調達など、起業に必要な準備に集中して取り組むことができます。
ビジネスプランの作成 | 徹底的な市場調査を行い、価値観、役割、競合分析などの事業計画を作成します。 |
資金調達 | 融資の申請や投資家へのプレゼンテーションなど、資金調達活動を行います。 |
人脈形成 | 業界のイベントやセミナーに参加し、ビジネスパートナーやメンターとなる人脈を築きます。 |
【体験談2】サラリーマンを辞め小さな会社を起業した際に、全く仕事が取れず業界から忘れられた時期が約1年間ありました。ビジネスプランは固定客もいたのでサラリーマン時代の業界の延長線上でやれると思ったのですが、現実は甘くなくなんとか食い繋ぐのが精一杯の状態まで落ち込んでしまいました。人脈も長年の営業経験があったので維持できると思っていましたが退職と同時に潮が引くように皆さんとは疎遠になってしまいました。仕事も無い、人脈も無い、資金も無い状態で事前準備不足を痛感しました。これ以上続けるよりも一旦現実から離れ、これからのためにスキルを身につけようと思い、プログラミングや画像、動画編集をオンラインで3ヶ月間勉強しました。
【体験談3】会社を退職して10ヶ月目にやっと中国語の古書を日本語、英語に翻訳する仕事を頂き、その後同じお客様から既存のホームページに日本語、英語のページを追加する仕事を頂きました。この時に役に立ったのが自己啓発で始めたプログラミングや画像、動画編集スキルでした。この仕事であれば事務所を借りずに、自宅を兼務できるし一人で完結型で仕事をこなせるので、これを機にサラリーマン時代に長く実績を積んだ「できる仕事」から「やりたい仕事」に視野を向けました。
(3)家族との時間やライフイベントに集中
仕事に追われる日々から解放され、家族との貴重な時間を過ごしたり、ライフイベントに集中したりすることができます。
育児に専念 | 子供の成長を見守り、かけがえのない時間を共有します。 |
家族旅行 | 家族で長期旅行に出かけ、思い出作りや絆を深めます |
介護に専念 | 親の介護に専念し、安心して過ごせる環境を整えます。 |
(4)大学院への進学など本格的な学び直し
キャリアアップやキャリアチェンジのために、大学院への進学や専門分野の学び直しに時間を費やすことができます。
MBA、MOTなどの学位取得 | ビジネススキルや経営知識を体系的に学び、キャリアアップを目指します。 |
専門分野の研究 | 興味ある分野(会計、税務分野、建築士、情報技術者)など深く研究し専門性を高めます。 |
資格取得と並行した学習 | 難易度の高い資格取得を目指しながら、関連分野の研究や学習を深めます。 |
(5)長期キャリアブレイクの効果
人生観や価値観の変化 | 長期にわたる経験を通して、自身の価値観や人生観が大きく変化する可能性があります。 |
新しいキャリアの構築 | これまでとは全く異なる分野へのキャリアチェンジや、起業など新しいキャリアを構築する機会となります。 |
自己実現への大きな一歩 | 長期キャリアブレイクを通して得た経験や学びは、自己実現への大きな一歩となります。 |
【体験談4】会社を退職して約1年、そのうち半年間は知らない地域でスキルアップのためオンライン講座の結果、「できる仕事」のキャリアをスパッと捨て、全くの素人がIT関係の事業を始めることになりました。分からないことはどんなことでも聞いて知識を溜め、少しづつ仕事を増やしていきました。退職した頃は”大手企業を辞めた元トップセールスマン”みたいなプライドを持っていたのが「プライドなんかどうでも良い、生きていくために仕事をする!!」に変わっていました。一度落ち込んだことが機会となりキャリアチェンジでき今の私がいます。
(6)長期キャリアブレイクのメリット
人生を大きく変える可能性を秘めている | 人生の方向性を大きく変える可能性を秘めており、より充実した人生を送るためのきっかけとなります。 |
自由な時間を最大限に活用できる | 時間に縛られることなく、自分のペースで様々なことに挑戦できます。 |
【体験談5】IT関係の仕事をしていると、自然と最新情報に敏感になりキャッチした情報が「第二のアニメブーム、爆買い、日本旅行、日本語ブーム、日本留学ブーム」でした。その流れに沿って日本語教室を開講し、日本留学支援、インターンシップや日本就職支援などにビジネスを広げて上海市と重慶市に小さな会社を設立し現在に至ります。何かを捨てることで繋がったビジネスの展開は私の人生を大きく変えてくれました。
(7)長期キャリアブレイクのデメリット
経済的な負担が大きい: 長期間の収入が途絶えるため、十分な貯蓄や資金計画が必要です。
復職が難しくなる可能性がある | 長期離職は復職の際に不利になるので転職か起業も選択肢にします。 |
周囲の理解を得にくい場合がある | 収入面、将来的な不安面から周囲の理解を得にくい場合もあります。 |
(8)長期キャリアブレイクを成功させるためのポイント
明確な目的を持つ | 何のためにキャリアブレイクをするのか?明確な目的を持つことが第一歩で大切なことです。 |
綿密な計画を立てる | キャリアブレイク期間に合わせて、期間、目的、費用、ゴール地点など綿密な計画を立てます。 |
周囲の理解を得る努力をする | 家族や友人、職場などにキャリアブレイクの目的や計画を説明し、理解を得るように努めます。 |
情報収集を怠らない | キャリアブレイクに関する情報、期間後の情報を収集し、様々な選択肢を検討します。 |
専門家への相談も検討する | 必要に応じて、キャリアカウンセラーやファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談します。 |
(9)長期(半年以上〜数年)まとめ
長期キャリアブレイクは、人生における大きな決断です。しかし、しっかりと準備を行い、目的意識を持って過ごすことで、人生を大きく変える可能性を秘めています。このブログ記事が、読者の皆様の長期キャリアブレイク検討の一助となれば幸いです。
4、期間別キャリアブレイクまとめ
キャリアブレイクは期間により意義(リフレッシュと刺激期間、人生を豊かにする期間、人生の大きな転換点)が異なります
短期間(数週間〜1ヶ月程度)キャリアブレイクでは全ての解決はできない場合があります
中期間(数ヶ月〜半年程度)は自己変革とキャリアの再構築が期待できます
長期間(半年以上〜数年)は人生観や価値観を大きく変え、新しいキャリアを構築し、自己実現できます