日本語教師経験者で中国は初めての方、不安に思われている方も多いでしょう。
中国から日本への留学生は世界一位を数年続けていて2位以下に3倍上大差がつくほどの大きな市場ですが、教師数が少なくどの学校も人材確保が難しい状況です。特に日本語科のある大学では日本人教師がいるといないとでは、日本語教育への取り組み方姿勢へ大きな差があり危機感を感じています。
私は2000年頃から長らく中国に在住し、2013年から自身でも日本語教育事業を展開しながら大学で現役日本語教師をしています。
未経験への不安は全くなく教師不足を背景に誰でも中国日本語教師になれるチャンスがあります。
1、中国全土で日本語教師は不足しています
(1)60歳以上の外国人へ就労ビザが発給されなくなりました
少し前までは、日本で教師として活躍され定年退職後に中国で日本語教師をする。そんな方々がメインでしたが、数年前に60歳を超える外国人への就労ビザが発給されなくなったこともあり、現在中国全土で日本語教師は不足しています。
(2)日本語教育をする場所が多い
日本語教育をしている場所は大きく分けて5箇所です。 |
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教育機関、教育場所 |
大学 |
高校 |
民間の日本語学校 |
企業内研修 |
ネット授業 |
(3)”高考(Gao Kao:ガオカオ)”で日本語を選択可能
小中高校生は日本のアニメの影響で小さい頃から日本語に触れていたことで、それまでの英語よりも日本語を選択して大学受験する生徒が増加し、2016年約1万人から2020年には10万人超え(10倍)となり、今後も増加傾向にあります。全国の高校では2016年頃から日本語授業を新設したところが多く日本語教師が不足しています(”高考”:日本の大学センター試験のような全国統一テストです)。
”高考(中国)”受験者数と日本語選択高考受験者数
以上の3つの背景から今後も日本語講師の不足が続き、給料や待遇などの労働契約の見直しを始めた教育機関が多いです。
2、教師未経験は弱みではなく強みです
(1)教え方の工夫を強調
日本で行う”直接指導”で授業中『見せて+話して+聞かせて+話させる』指導は日本人にしかできません。1年目で授業内容を確定させて2年目以降は同じ教え方をすれば、1年目でしっかり資料の作り込みをすれば2年目以降は繰り返し使えますし。もし他の教育機関に行っても”自身の教え方”としてPRできます。
私の現在の教え方資料は、自身の日本語学校用に作った資料を大学生向けにバージョンアップしたものです。
(2)若さで学生の人気者に!
学生は自身の近い将来像として”若い日本人”とのコミュニケーションの場が必要ですが、実際には教師は私も含めてみなさんシニア層が多く、直近の日本の同世代の文化習慣を伝えることができていません。
習う日本語から慣れる日本語:今の学生には”きちんとしたカリキュラム通り日本語”はネットなどで十分復習できます。必要なのは社会に出て即使える日本語です。
(3)過去の経験を活かし授業へ取り込みます
いろんな社会経験を授業に盛り込むと、学生の好奇心に火をつけることができます。例えばビジネス日本語、貿易基礎知識、論文と弁論、E-Mailなど今までになかった授業をすることで受講者は急増し、大学側にも認めてもらい新しい授業カリキュラムとして進めています。教科書を教える:教科書を『読んで+読ませて』では即戦力となるコミュニケーション力は身に付きません。
教科書で教える:『見せて(資料)+話して+聞かせて(資料+社会経験や同世代の文化習慣)+話させる』これは日本人ができる最強な授業です。
3、中国人日本語教師と日本人日本語教師
(1)中国人日本語教師
中国人にとって、他の職業と比較すると日本語教師の給料や待遇はかなり良く人気職業です。しかし中国人日本語教師は文法や文学的なことを教えることはできますが、会話力授業ではハードルが高く、音声データーを流す程度でネイティブな会話力は身につきません。
(2)日本人日本語教師
中国語ができない日本人教師は3−4年前までは会話を教えるだけで、現在もそれでも良いのですが、教え方を工夫することで”直接指導”で文法も教えることで中国人教師との差別化もできます。実際に私も”見せる授業”を工夫し”会話+文法”の授業をすることで、自身への付加価値として大学との待遇面の交渉材料にしています。
日本語教師が不足している状態で更に日本人教師も少なく、”私はこんな教え方ができる”ということを強みにすることで就職先は需要過多な状態です。
4、まとめ
”日本人日本語教師として活躍できる地域はアジアだけ、、”ネットでは消極的な意見が多いですが、実際には”日本への留学生数、日本語学習者増加状態、教師不足”の3点だけを見ても中国は十分な市場と需要があります(以下2020年日本語学習者数)。
日本語学習者が多い国(地域) | 日本語を学び来日学習者数と国籍(地域) |
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1位:中国(1,004,625人)↑ | 1位:中国(91,547人)↑ |
2位:インドネシア(709,479人)↓ | 2位:ベトナム(62,117人)↑ |
3位:韓国(531,511人)↓ | 3位:ネパール(14,246人)↑ |
◯ | ◯ |
8位:アメリカ(166,905人)↓ | 9位:アメリカ(5,628人) |
経験値に拘るのはビジネス現場だけで言えることで、日本語教育現場では逆に新鮮感があり好評なので戦略にすべきです。私は既にシニア層に入り、学生に必要な新鮮感が不足していて次世代の皆様が活躍できるように中国市場の現状を説明させて頂きました。