中国で日本人が日本語教師になるまでの進め方

この記事でわかること

中国の大学で日本語教師になるには長い準備期間が必要ですが、いつ頃何をすればいいか?不明確なことも多くタイムスケジュールを作るもの難しいのでないでしょうか?

この記事では、タイムスケジュールをたて進められるように説明します。

◯日本語教師開始までの進め方

◯大学に応募するためにすること

◯応募時大切な履歴書、職歴書、自身の強さなどのPR作成

◯各手続きに必要な時間

私は2000年頃から長らく中国に在住し、いろんなビザを取得してきました。2013年から自身でも日本語教育事業を展開しながら大学で現役日本語教師をしています。

しっかりとしたタイムスケジュールに沿って進めることで、余裕ができ、わからないことがわかり大学側からの支援も受けやすくなります。日本国内の就職活動とは異なりますが、難しいことはありません。積極的に進めるだけですのでご参考にしてください。

目次

1、日本語教師開始までの進め方

中国で日本人が日本語教師になるまでの進め方

中国の大学は2学期制で9月始まりです(1学期:9月,2学期:3月)。大学側は教師の想定外の欠勤がない限り、9月の新学期から働ける人を採用しますので以下のような日程で進めることをお勧め致します。

◯大学の調査、選定:5月

◯履歴書送付、採用決定、労働契約締結:5〜6月

◯Zビザ(就労ビザ)取得:7〜8月

◯渡航:7月〜8月初旬

この日程で重要なのは”Zビザ(就労ビザ)取得”です。必要書類の準備、大学から送付してもらう書類などがありますので2ヶ月位前から余裕を持って準備を始めます。

”渡航”について、中国未経験者の方は生活に慣れることがとても大切ですので、新学期が始まる1ヶ月〜2ヶ月前に渡航し以下の7点を確認したり準備をすることで気持ちに余裕ができ好スタートが切れます。

◯住居地周辺の生活環境に慣れます

◯通勤手段、大学通勤バス、一般交通機関の所用時間の確認

◯学校内の規則、教室、食堂など場所の確認

◯既存の教科書がありますので、授業の進め方を考えます

◯新学期が始まる2〜3週間前に時間割が決まります

◯学期末テスト作成の注意点やテストフォームなどを確認します

◯日常の評価方法、学期末の成績登録方法

2、募集状況の調査から応募

(1)中国全土の大学をネット検索

中国で日本人が日本語教師になるまでの進め方

中国全土には本科(4年生)と専科(2-3年生)合わせて2759校(2022年5月31日時点)の大学がありそのうち本科の大学は約1300校あり、これら大学を調べる方法の一つとして”211大学(112校)”の一流大学に先ず募集の有無の問い合わせMailを送付します。

外国語学院があり日本語科がなくても第二外国語として日本語を教える大学もあるので、全体数を把握するためにも以下Listをご参照ください。

211工程大学List(112校)
院校名称所在地院校名称所在地
第1期指定大学(2所)北京大学北京
清华大学北京
第2期指定大学(7所)复旦大学上海浙江大学浙江
上海交通大学上海哈尔滨工业大学黑龙江
中国科学技术大学安徽西安交通大学陕西
南京大学江苏
第3期指定大学(23所)中国人民大学北京山东大学山东
北京航空航天大学北京武汉大学湖北
北京理工大学北京华中科技大学湖北
中国农业大学北京中南大学湖南
北京师范大学北京国防科学技术大学湖南
南开大学天津中山大学广东
天津大学天津四川大学四川
大连理工大学辽宁重庆大学重庆
吉林大学吉林西北工业大学陕西
同济大学上海兰州大学甘肃
东南大学江苏西北农林科技大学陕西
厦门大学福建
第4期指定大学(7所)中央民族大学北京湖南大学湖南
东北大学辽宁华南理工大学广东
华东师范大学上海电子科技大学四川
中国海洋大学山东
第5期指定大学(36所)北京交通大学北京南京农业大学江苏
北京科技大学北京中国药科大学江苏
北京化工大学北京合肥工业大学安徽
北京邮电大学北京武汉理工大学湖北
北京林业大学北京华中农业大学湖北
北京中医药大学北京华中师范大学湖北
中国传媒大学北京中南财经政法大学湖北
中央财经大学北京暨南大学广东
中国政法大学北京西南交通大学四川
华北电力大学北京西南财经大学四川
东北师范大学吉林西南大学重庆
东北林业大学黑龙江西安电子科技大学陕西
华东理工大学上海长安大学陕西
南京航空航天大学江苏陕西师范大学陕西
南京理工大学江苏中国石油大学山东
中国矿业大学江苏中国地质大学湖北
河海大学江苏哈尔滨工程大学黑龙江
江南大学江苏上海财经大学上海
第6期指定大学(9所)北京外国语大学北京东华大学上海
对外经济贸易大学北京上海外国语大学上海
北京体育大学北京第二军医大学上海
中央音乐学院北京第四军医大学陕西
大连海事大学辽宁
第7期指定大学(23所)北京工业大学北京福州大学福建
天津医科大学天津南昌大学江西
河北工业大学天津郑州大学河南
太原理工大学山西湖南师范大学湖南
内蒙古大学内蒙古华南师范大学广东
辽宁大学辽宁广西大学广西
延边大学吉林四川农业大学四川
东北农业大学黑龙江贵州大学贵州
上海大学上海云南大学云南
苏州大学江苏西北大学陕西
南京师范大学江苏新疆大学新疆
安徽大学安徽
第8期指定大学(5所)海南大学海南石河子大学新疆
青海大学青海西藏大学西藏
宁夏大学宁夏

(2)日本語科のある大学を選別

大学の中から”外国語学院”のある大学を選別し、更に”日本語科”のある大学を選別します。学院とは日本の大学の学部のことで日本語科のある大学は約710校(本科(4年制)大学で約510校、専科(3年制)大学で約200校)。位です。

”日本語科”の有無や教師募集の有無はホームページの更新に反映されていない大学も多いので、全体数調査→日本語科の有無と絞り込んで調査することをおすすめします。

(3)住んでみたい興味のある地域

中国で日本人が日本語教師になるまでの進め方

日本語教師になりたい!!希望を実現した後長く継続するなら住む地域も大切な条件です。日本企業が多い地域=日本人が多く駐在している地域=日本人が住みやすい環境になっています。

中国に駐在したことがない人がいきなり地方都市に住むと、仕事どころではない生活のストレスに負けてしまう人が多いです。例えば、上海、北京、天津、広州、深圳、大連市、武漢市、重慶市あたりが比較的日本人が多い地域です。

以下に985校、211校分布から住みたい、興味のある地域から選ぶ参考にしてください

(4)未経験者は三流大学からステップアップ

日本語教師未経験者は985大学、211大学のような一流大学より二流、三流大学で実績を積むことをおすすめします。一流大学に採用されると自身の満足感も大きいのでついつい選んでしまい悪いことではありませんが、一流大学ほど教師の管理が厳しく大学からの要求も強くなりますので、未経験者にとって大学の要求に応えながら日本語教師をするのは大変なストレスになります。最初は三流大学である程度自由な環境で日本語教師の実績を積んだり、生活に便利な地域を優先して民間の日本語学校で日本語教師の実績を積むこともお勧めします。

↑↑中国のホームページです(中国のサイトです)↑↑

(5)地域、大学が絞り込めたら連絡します

どこでも良い、、わけではありませんが、ホームページに求人情報があるのはごく稀なことなのでできるだけ多くの大学にチャレンジしましょう。応募方法はMailが一般的で、直近で募集があればMail返信があります。

ここで日本と中国の文化習慣の違いから気をつけることは、一度Mailしたのに返信がないからといって募集がないとあきらめないことです。1−2週間待って再度Mailしてください。”わからない、しょうがない”が日課になっているこの国では見落としは普通にあることです。

(6)求人のある大学へ応募します

応募概要は”履歴書を送付してください”と記載しているものが多いですが履歴書内容の職歴欄を詳しく書くか、別に職歴書だけで詳しく書いて送付すると効果的です。若い方で職歴にこれといって自身を強調することが少なければ以下の内容をテーマを参考に作成し自己PRしましょう。

◯どんな日本語指導をしたいか

◯その為に自分は何ができるか

◯学生にどんな効果を与えることができるか

◯日本滞在者なら中国未経験者としての弱みをどのように強みに変えるか

◯中国滞在者なら中国滞在経験者として更にどう強みを大きくできるか

履歴書、職歴書とも日本語で作成します。慣れない中国語を翻訳しながら作成するのも良いですが、中国語はいろんな意味を持つ類似語がたくさんありますので、誤表現するよりも日本語で確実に表現した方が良いです。

3、審査、採用決定、労働契約締結

(1)審査内容

◯一次審査:書類審査は履歴書で審査します

◯二次審査:インターネットを使い面接します

大学によって履歴書で内定が出る場合もありますが、面接では中国人日本語教師が担当し規定の労働契約書の確認などのQ&Aがメインになり、面接まで進めばほぼ確定したことになります。

(2)労働契約書

採用が決定すると労働契約を締結します。労働契約書で特に重要なことは、契約期間、給料、最低授業コマ数、住居、一時帰国補助ですので、わからないことは遠慮なく質問し納得すえれば署名しましょう。

大学側は”外国人教師の労働契約内容はこのように決まっています”必ずそんな言い方をして交渉することができないような雰囲気を作ります。この雰囲気に流されないように以下の5つの意識を持ちましょう。

◯なぜ交渉ができないのか?

◯中国から見た外国人は国も習慣も違うのになぜ同じ契約なのか?

◯なぜ予め契約内容が決まっているのか?

◯質問して疑問を解消し納得して署名することが常識ではないのか?

◯他にも候補があるのに、どしてもこの大学で働きたいわけではない

4、Zビザ(就労ビザ)申請

内定或いは採用が決定すると就労ビザの準備に入ります。大学によっては一人一人にビザ申請指導をする手間を省くため、外国人教師は全員人材派遣会社から派遣する形にしている所もありますので、派遣会社との契約か大学との契約かもチェックしましょう。

申請手順は同じですので詳しくは以下をクリックしてください。基礎知識を持って細かい所だけを大学や派遣会社からサポートしてもらう位の心構えで情報収集をしましょう。

関連記事:【中国未経験者】日本語教師の就労ビザから中国入国後にすること

5、まとめ

大学側は教師の想定外の欠勤がない限り、9月の新学期から働ける人を採用します

”Zビザ(就労ビザ)取得”は必要書類の準備、大学から送付してもらう書類などがありますので2ヶ月間位の余裕を持ちましょう

渡航日は中国未経験者の方は生活に慣れることがとても重要ですので、新学期が始まる1ヶ月〜2ヶ月前には渡航しましょう

履歴書以外に職歴欄を詳しく書くか?別書類として詳しく作成すると効果的です

労働契約締結の際、”外国人教師の労働契約内容はこのように決まっています”必ずそんな言い方をして交渉することができないような雰囲気を作ります。この雰囲気に流されないようにしましょう。

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