【体験談】中国の大学、高校、日本語学校の日本人教師勤務状況

この記事でわかること

中国で日本語教師が働く場は主に大学、高校、日本語学校の3種類です。

それぞれの学校での待遇や勤務状況はどう違うのか?疑問に思われる方もいらっしゃると思います。中国で日本語教師をする上で各学校の特徴を正しく理解することは就職や転職活動の第一歩です。日本のようにホームページなどに親切丁寧に説明はありませんので、3種類の学校を調査するのは多変です。

そこで、この記事では中国の日本語教育機関について、私自身でも2013年から日本語教育事業を行い、大学の現役日本語講師としていろいろな学校で授業をしている体験から説明しますね。

◯大学、高校、日本語学校の待遇、勤務状況、求められる人材について

◯大学、高校、日本語学校の指導内容

◯日本語教育機関数

これから、中国で日本語教師を目指される方、転職を検討されている方は必見です。

目次

1、各学校の勤務状況や特徴

大学高校日本語学校
給料(40コマ(45分/1コマ))で算出10,000-12,000元/月11,000-13,000元/月5,000-7,000元/ 月
勤務日数、時間 3-4日/週 3-5日/週2-3日/週
勤務地郊外郊外便利な中心地
住居住居無料住居無料自己負担、補助あり
求められる人材コミュニケーション力指導高考対策指導臨機応変


2、各学校の勤務状況を詳細説明

1、大学の勤務状況

(1)大学で日本語教師

日本人日本語教師の最高のステータスはやはり大学で日本語教師をすることですが、待遇面は企業と比べて良くないにも関わらず、一度採用されると”居心地が良いのでしょうか?”10年間も勤務する教師もいて有名一流大学ほど教師の空きが少ない状態です。

私は2校の大学を兼務していますが、8年間、14年間というベテラン日本人教師もいました。大学にとってベテラン教師は大学のルールを熟知でき業務フォローの手間がかからないことは良いことだと思いますが、一方で学生の見方は少々違う様です。

(2)大学の勤務状況

勤務は2-3日間/週程度で空き時間は他の業務はなく拘束時間がありません。授業が終われば帰宅でき、学生と同じ様に夏休みと冬休みが3-4ヶ月/年ありますので、実質8-9ヶ月/年が勤務時間になり自由な時間が多いことは大変魅力です。

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(3)日本語科のある大学

全国の大学数は合計2,914校(中国教育部が2017年6月15日調査結果発表)あり、4年制の普通大学が約90%:2,631校あり、他に学院があります。この2,631校の内約30%(約780校)に日本語科があります。

*普通大学:国家の設置基準によって設立され、高考(全国大学入試統一テスト)に合格した高校卒業生を対象とする全日制の大学
*学院:その地域や企業と合同で設立した高等教育、本科教育の大学

2、高校の勤務状況

(1)高校と大学での日本語教師の違い

高校で日本語を学習する大半(高校で日本語学習者の約76%)の学生の目標は高考受験なので受験対策に沿った日本語教育が必要です。

そのため間接指導(中国語で日本語指導をする)が必要となり日本人教師は中国語指導ができないので中国人教師の方が向いています。一方、大学では社会で使える日本語にするために会話やコミュニケーション力、作文力の教育が求められますので日本人教師が必要です。

(2)高校の勤務状況

採用時の労働契約にもよりますが、一般的には3-4日/ 週程度の勤務が多く担当授業以外の空き時間も自習や補習時間などのサポートがあり学校にいなければいけません。大学と比較すると10-20%程度給料は高いですが、自由な時間が少ないです。夏休みや冬休みは学生と同じ日数(約3ヶ月間)ありますが大学よりは少なめです。

(3)日本語科のある高校

中国では、大学へ進学するために”高考(:全国大学入試統一テスト)があり、外国語科目は以前は英語1科目でしたが、現在は日本語、ロシア語を加えた科目から自分の得意な言語を一つ選び受験することができるようになりました。その結果全国各地の高校は続々と日本語科目を増設し、吉林省や黒竜江省などの東北地域ではもともと日本語の人気がありましたが、他に江蘇省、浙江省、貴州省、広東省などでも日本語学習者が増加しています。

*2015 年度調査で 52,382 人だった中高校での日本語学習者は,2018 年度調査で は 90,109 人に増加しています。(国際交流基金調査結果)

3、日本語学校の勤務状況

(1)日本語学校と大学での日本語教師の違い

【世界一の日本語学習者】中国の大学、高校、日本語学校03

日本語学校は1年間の指導カリキュラムが立てにくい
●いろいろな環境の生徒がいます
 ◯仕事で日本語が必要な社会人
 ◯趣味で日本文化が好きな学生
 ◯高考受験対策の高校生
 ◯お試し期間で1週間だけの生徒
●少人数指導が基本

大学や高校での集団指導とは違い日本語学校では1対1か5人程度の少人数指導であったりネット授業ですので指導方法が変わります。

(2)日本語学校の勤務状況

日本語学校は日本と同じ様に民間企業なので、年間通じて生徒数は不安定です。授業は”1コマいくら?”の労働契約になり授業に合わせて学校へ出勤する形です。当然生徒数が減少すれば授業数も減少します。教師がすぐに辞めたりして安定しないのも日本語学校の大きな特徴で、前任教師の担当する生徒を引き継いだりすることも多く、臨機応変な対応が必要です。

夏季コース、冬季コースなどがあり日本語学校専任教師になると休みが少ないですが、大学で日本語教師をする上で副業で別の所で日本語教師をする場合は日本語学校がオススメです。”大学の日本語教師”という信用から生徒を集めやすいという学校側のメリットと、大学での空き時間で短い時間で授業ができる日本語教師側のメリットがあります。

(3)日本語学校の状況

日本語学校は日本語教育機関の約25%(約400校)程度あります。日本人教師も他の日本人就労者と同じ様に就業許可書や就労ビザを取得しなければいけないので、日本語学校としてきちんと就労許可書を申請、取得できることも大事な選択基準です。学校規模も全国に展開する大手から個人経営の学校まで様々です。

関連記事:【中国未経験者】日本語教師の就労ビザから中国入国後にすること

3、まとめ

求める人材は大学ではコミュニケーション力指導、高校では高考対策指導ができる日本語教師、日本語学校では臨機応変な指導力

自由になる時間は大学が長いです

大学の日本語教師としての副業で日本語学校と兼務するのがオススメです

【参考情報引用元】:中国(2020年度)高校で第一外国語として日本語を学んだ 、世界第一位の日本語学習大国となった中国

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