有名大学になればなるほど厳しく高い条件が明記されているようですが、大学が募集する日本人教師は一般的にはなどのような条件をクリアーすれば採用されるのでしょうか?中国語表記でよくわかない方も多いのではないでしょうか?この記事では大学で日本語教師を目指す方々に以下の内容をお知らせ致します。
◯大学の一般的な募集要項
◯日本語教師としての経験や資格
◯中国語力
◯勤務時間
◯指導方法
私が2013年から自身で日本語教育事業を展開し現在も現役で大学日本語教師をしていて感じたことは2つです。”60歳以下、最終学歴は大卒”これだけクリアーできれば誰にでもチャンスがあります。日本語教師で最高なステータスで安定しているのは大学の日本語教師です。日本人教師が不足している状況は今後も続きますので、募集要項などの細かな諸条件は大学側の希望として捉えることをお勧めします。これから目指す方は是非ご参考にしてください。
一般的な日本語教師募集要項の解説
1 | 年齢制限 | 60歳以下 |
2 | 最終学歴 | 学士(大学卒) |
3 | 経験 | 2年以上日本語教育の実務経験 |
4 | 中国語能力 | 特に問いません、自主的に学習意欲がある |
5 | 資格 | 特に問いませんが、何らかの日本語教師育成コース修了者であれば更に有効 |
6 | 勤務時間 | 12時間/1週間 |
7 | 契約期間 | 1年間更新制 |
8 | 指導範囲 | 会話力、コミュニケーション力育成 |
(1)年齢制限(60歳以下)
就業許可書、就労ビザの年齢制限が投資者や会社経営者以外は満60歳までのため年齢制限が厳しくなっています。現在中国全土で日本語教師が不足している原因はこの年齢制限です。年齢制限規制前までの日本語教師はシニア層や定年退職した教師経験者が大半でした。以前のシニア層、教師経験者は単に教科書を読み、聞かせ、読ませるだけの方々が多く、高い技術力が不要な業種とされたことでビザ発給の年齢制限業種に含められたと言われています。
関連記事:【中国未経験者】日本語教師の就労ビザから中国入国後にすること
(2)最終学歴:学士(大学卒)
中国人が大学教師になるためには学士、修士が必要なことに準拠したため、高校卒の方々には残念ですがしようがない部分です。最新の就労許可書やビザ発給状況では大学を卒業していなければ許可されないことが基本なので、雇用側も最終学歴の条件が学士(大学卒)になります。しかし申請当時の情勢により許可範囲が変わる場合がありますので公式情報は常に確認しましょう。
(3)経験
大学は企業と違って研修制度がありません。そのため日本語の指導方法は教師各自のオリジナリティが必要になります。大学からは前年に使用された教科書が提示され、その教科書に沿って指導しても良いし、自分でもっと良い教科書があれば大学へ提案すれば許可されます。
一方でその教科書をどのように指導するか?は教師に一任されることから2年以上の日本語教育実務経験を要求されます。新人教師にとって実務経験は難関でもあり差別化できるチャンスでもあります。”私は◯○◯、、、、◯◯のように指導します”としっかりと説明できるようにしましょう。企業への履歴書に例えると”自己PR”になります。大学としてもどんな程度の経験者なのか?よりどのような指導ができるかを評価し優先します。
(4)中国語能力
通常の日本語授業では直接指導で日本語で日本語を教えた方が会話力やコミュニケーション力がアップしますので中国語は不要です。反面、日常生活では全く中国語ができないと不自由で困ります。大学には”国際交流処、外教交流処”のような名称で外国人教師の採用、契約、交流会などをする部署があります。企業に例えると総務部や人事部のような部署です。この部署では情報発信や交流が主で、日常生活のフォローまではしてくれません。
快適な生活を送り中国を好きになるためには日頃から自主的に中国語を学習する意欲が大切です。HSK対策に沿って長期的に学習し日頃の生活でわからない単語を集めて覚えて使ってみることを繰り返すことで上達が早く、中国語力を証明するためにはHSKは有効的です。
関連記事:【実践!日本語授業には中国語は不要】日常生活のために効果的な中国語学習方法
(5)資格
日本と中国で大きく違う部分です。日本では以下の3つの資格のどれかを必要とする学校も多いですが、中国では資格の有無はあまり重視せず、応募者の日本語教育経験、社会実績の方を重視し更に、面接などで自己管理能力の有無を高く評価します。
日本語教師養成講座420時間コースの修了者
日本語教育能力検定試験合格者
大学にて日本語教授法専攻または副専攻
(6)勤務時間
大学によって勤務時間は異なりますが、民間の日本学校のように授業の空き時間は他の業務などで学校内に待機することはありません。授業に遅れないように来て、終われば帰ってもいいので、毎週や毎月の授業時間が規定されています。平均すると10時間程度/毎週です。大学は45分/1コマで10分の休憩を挟み更に45分授業をするように2コマ/1授業で時間割が作られます。時間割は学期ごと(2学期/1年)に大学側が作成しますので、教師はその時間割に沿って出勤します。
(例1)1週間に6授業入っていれば、6×90分=540分/60分=9時間
(例2)1週間に7授業入っていれば、7×90分=630分/60分= 10.5時間
(例3)1週間に8授業入っていれば、8×90分=720分/60分= 12時間
時間割は前学期が終わった頃に自分の都合の良い曜日を連絡することである程度調整してくれます。例えば、月曜日、火曜日、水曜日に授業を集中させて木曜日、金曜日、土曜日、日曜日を休みにすることもできます。私の現在の勤務時間も12時間/毎週ですが平均すると上記の(例2)7授業/毎週(10.5時間)程度ですので、3日間勤務し4日間休みのスケジュールで休みの日は他の仕事をしています。
(7)契約期間
採用時に労働契約を結び、どの大学も1年更新が一般的です。安定性を考えると複数年契約をしたいと思われる方も多いですが、労働条件の改善(特に給料などの待遇面)の交渉は契約更新時にしかできないため、安定性より待遇アップの交渉を優先することをお勧めします。
一般企業と比較して日本語教師は夏休みや冬休みもあり時間的余裕があるのは大きなメリットですが、給料が安いことは事実です。そこでしっかりと働き、大学に貢献し、成果を出すことで次年度の交渉が可能です。大学の教師は社会的ステータスが高いのでついつい安定性を優先し、要求もせずなんとなく更新するのが当然のような雰囲気があるので気をつけましょう。
関連記事:【実例付き説明】中国日本人教師価値を高め労働契約を優位に進める方法
8、指導範囲
日本人教師に求められるのは会話力やコミュニケーション力を指導することですが、単に教科書の読み合わせのようなことをやっていてもなかなか身につかないのでオリジナリティのある指導方法が求められます。上記”(3)項:経験”のように、どんな指導方法ができるか?自分だからこそできる指導方法を常に考え続けることも日本語教師の楽しさです。
2、まとめ
日本語教師は”60歳以下、大学卒”であれば誰でもチャンスがあります
募集要項の基準に惑わされずチャレンジしましょう
過去の経験は日本語教師として自己PRとしてきちんと大学側に伝えましょう
自分にしかできないオリジナリティのある指導方法を楽しく考えましょう
中国語力は生活を有意義にするために学習意欲を持つことが大切です
成果に合う報酬を得るために契約更新時の交渉はしましょう