【実例付き説明】中国日本人教師価値を高め労働契約を優位に進める方法

この記事でわかること

日本人にはあまり馴染みのない”労働契約”について単に署名すれば良いもの、自分の要求を言うと採用取り消しになるのではないか?と遠慮している方も多いのではないでしょうか?人口数では日本の10倍以上の中国ですが日本以上に人材不足なんです。そんな人材不足な国で労働契約を結ぶときに中長期的に優位に進める方法を説明します。

◯教師不足な背景

◯大学側が求める人物像

◯初年度、次年度、、交渉した内容事例

◯自己分析と大学側調査の必要性

私は2013年から自身でも日本語教育事業を展開しており、大学で現役日本語教師をしてる立場から大学との契約更新時の心がけや交渉してきた実例を説明します。

中国は日本以上に契約社会であり、労使間が対等になれるのは労働契約を交わすときだけです。この機を有効に進めることは自身で自身の待遇改善のために大切なことです。誰でもできる交渉術ですのでご参考ください。

目次

1、実績と信用を作るには自己管理能力

日本人教師は給料が安く待遇が悪いとよく言われますが、それは60歳以上の方々がこの中国で日本人教師をしていた頃のことです。現在では環境が大き変わり中国全土で日本人教師不足な状態です。

関連記事:中国日本語教師は不足しています未経験者でも大歓迎

待遇面の改善ができるのは教師自身です。しっかりとしたオリジナリティのある指導方法ができて、成果を出せば労働契約更新時に大学側へ提案するだけです。この国は日本のように愛社心から長く会社に留まることはせず、キャリアアップのために転職することが多く、会社側は日本では当然な自己管理能力を高く評価しています。

自己管理力を徹底することで大学への実績と信用は必ず勝ち取れます。教師不足の背景は今後もしばらくは改善されませんし、大学の求める人物像もこの国の文化習慣が根底にある以上変わることはありません。更にマーケティング(3C分析)から考えても競合が少なく顧客が多いことから自身をどのようにアピールするかで労働契約を優位に進められます。

(1)背景

同じ市内、省内の大学では外国人教師の取り合いを防止するために待遇面について大学間で合わせていますので、採用初年度や新人教師には待遇面の交渉の余地はほとんんどありません。

一方で、以下関連記事でも説明の通り、大学には人材評価の基準が曖昧で、日常の勤務管理は自己管理でしています。そのため指導方法と成果が自己管理能力として重視されます。更に、現在は日本人教師の人材不足により完全に教師優位な状況です。つまり大学側は一旦採用した日本人教師は絶対繋ぎ止めなければなりません。

関連記事:中国の大学が求める日本人日本語教師像は自己管理能力

(2)自己管理能力:大学が求める人物像

○契約以外のことは要求しないし契約を厳守します
○病欠はしようがないではなく健康管理も自己管理の内です
○学生の学期末テストの成績アップ
○コミュニケーション力アップのためのオリジナリティのある指導方法

2、どのように交渉したか(実例)

(1)初年度状況

履歴書や職歴書に以下の5点を特に強調し労働契約書には”他校でのアルバイトを禁止する”と記載していましたが、これについては、”労働時間を厳守できる範囲内で認める”に修正してもらい、待遇面では他に要求せず一発回答で署名しました。

○日系大手企業での長いビジネス経験
○起業後に日本語学校開校
○商工会役員のため日系企業との強い関係
○自身の過去ビジネス成果への恩返しのため社会貢献したい
○必要とする大学があれば広く活動範囲を広げたい

(2)初年度から2年目への交渉

○給料1ヶ月分のアップ(11ヶ月分→12ヶ月分)
○時間割編成時に連続の3日間/1週間とする
○1回/1年の日本への一時帰国飛行機代実費精算

(3)2年目から3年目への交渉

○2年目に加えて給料1500元/毎月のアップ
○条件として、4年目移行は待遇面での交渉はしない

3、契約更新時のみ大学側と対等になれます

(1)相手のペースを理解して自分のペースで

2年目も3年目も契約更新時に言われたことがあります。”大学には大学の規定があり契約内容は変えれませんし、他の外国人教師にも同意してもらっています。”更新時には必ず言われる言葉ですので、外国語学院であれば他の外国人教師の状況を調べてください。これも大切な市場調査です。

(2)結果、私の答えも毎年同じです

”他の外国人はネイティブですか?その前に、私の前年度の指導法と成果を説明します。他の外国人教師はどうですか?日本人教師には日本文化習慣に基づいたネイティブな指導ができることが付加価値です。その付加価値を維持するためにはある程度の生活水準が必要です。”

(3)待遇面アップの理由を明確に提示

”その生活水準があるからこそキャリアアップができ次年度に成果を出せます。その付加価値を認めるかどうかが契約更新ということではないでしょうか?私の前年度の成果を是非評価してもらい更新させて頂きたく思っています。”

4、自己分析と大学内の市場調査

日本語教師を目指す方々にはいろいろな経験や背景があるので、当然私の場合と異なります。大切なことは競合が少なく、顧客が多いことは事実です。残りは自身の強さをよく掘り下げ、やった分だけの報酬は段階的に交渉していく意欲をもつことです。

大学内に他の外国人教師がいますのでしっかりと市場調査をしましょう。彼らがやっていないことをやり、やっていればそれ以上の方法を交渉材料にします。私のいる大学の他の外国人教師状況は以下の通りです。

●イギリス、アメリカなど母国語が英語の教師はいません
●母国の給料より外国人教師給料の方が高い
●どんな指導法をしているか?又、成果をアピールできていない
●待遇改善の交渉はしていない

マーケティングにあるSWOT分析などにより、自身の強さを環境の機会により最大限にして、弱みを改善して強さに改善します。更に3C分析により日本語教師の市場をよく理解すれば、みなさんにあった労働契約が必ずできます。

5、契約更新しない場合への対応策

(1)リクルート活動

2年目になりましたらリクルート活動をしましょう。目的は空き日程に他の大学でも授業をすることですので、現在の大学に遠慮することはありません。給料や待遇面はお試し期間としてリクルート先大学側の要求を受け入れましょう。気をつけなければいけないことは、大学間どうしの繋がりが強いので、初年度からのリクルート活動は情報が漏れたり、自身の安売りになりかねないので控えます。

(2)常に2箇所の大学

大学は閉鎖的な環境のため一度勤務すると他校との比較が難しいです。そのためなんとなく契約更新し長く一つの大学に勤務する人も多いです。一つの大学に長く勤務することが悪いわけではありませんが、私たち日本人教師の価値を高めるのは自分自身で、そのチャンスは契約更新時だけです。別の大学も選択肢にして価値を高めることをオススメ致します。

6、まとめ

教師不足の背景はしばらくは改善されませんし、大学の求める人物像は自己管理能力のある人です。

マーケティング(3C分析)から考えても競合が少なく顧客が多いことから自身をどのようにアピールするかで待遇面改善や労働契約条件を優位に進められます。

労働契約更新時への交渉は2年目以降として、自身の指導方法と成果をアピールし、別の大学を探すのではなく”評価してもらい是非この大学で働きたい”気持ちを前面に出します。

交渉時は、待遇面も含み何をどうしてほしいか?しっかりと提示します。

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